犬が水を飲まないときのフードの工夫|水分補給の考え方と5つの手順
フード選び

犬が水を飲まないときのフードの工夫|水分補給の考え方と5つの手順

調査担当:ヒロ(いぬごはん調査室 運営者) 2026/9/3 公開

「うちの子、あまり水を飲まないかもしれない」。器の水がほとんど減っていない朝に、そう感じたことはありませんか。

水は栄養素ではありませんが、体のはたらきを支えるうえで欠かせないものです。とはいえ、犬が水を飲む量は季節・運動量・食べているフードの種類によって大きく変わります。減っていないように見えても足りていることも、逆に飲んでいるつもりで足りていないこともあります。

この記事では、あわてて対処する前に確かめたいことから、フード側でできる工夫、そして動物病院に相談したいサインまでを、5つの手順に沿って整理します。水分補給はあくまで日々のケアの話であり、症状の改善や病気の予防を約束するものではありません。気になる様子があるときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。


手順1:まず「本当に足りていないか」を測る

犬の水飲み用の器に水を注ぐ場面(イメージ)

体感で「飲んでいない」と判断する前に、1日の量を実際に測ってみます。やり方はかんたんです。

  1. 朝、器に入れた水の量を計量カップで測って記録する
  2. 途中で足したときは、その量も足し算していく
  3. 翌朝、残っている水の量を測って引き算する

こぼした分や蒸発分が入るため厳密な数字にはなりませんが、3日ほど続けると「その子のふだんの量」がつかめます。これが後々いちばん役に立ちます。

一般的な目安として、健康な成犬の1日の飲水量は体重1kgあたりおよそ50〜60mLと紹介されることが多くあります。5kgの犬なら250〜300mL程度が一つの見当です。ただしこれは幅のある目安で、次の条件で簡単に上下します。

  • 食べているフードの水分量:ドライフードの水分は約10%以下、ウェットフードは約75%前後とされます。ウェット中心の子は、飲水量が少なく見えて当然です
  • 気温・湿度:寒い時期は自然に減ります
  • 運動量:散歩の長さや遊びの量で変わります
  • 年齢:シニア期は喉の渇きを感じにくくなることがあるといわれます

大切なのは他の犬と比べることではなく、その子のふだんと比べることです。「少ない気がする」ではなく「先週より○mL減った」と言えると、獣医師に相談するときにも伝わりやすくなります。

なお、逆に急に飲む量が増えた場合も体調のサインとされます。目安として体重1kgあたり100mLを超える日が続くようなら、量が多い方向でも一度ご相談ください。

手順2:器と置き場所を見直す

飲水量は、環境を少し変えるだけで変わることがあります。フードを変える前に、まずここを確認します。

  • 器の高さ:床置きだと首を大きく下げる必要があります。シニア犬や大型犬では、少し高さのあるスタンドのほうが飲みやすいことがあります
  • 器の素材:金属やプラスチックのにおい・音を気にする子もいます。陶器に変えたら飲むようになった、というケースも聞かれます
  • 水の深さ:ヒゲが器のふちに当たるのを嫌がる子もいます。口径が広めで浅い器を試す価値があります
  • 置き場所を増やす:リビング・寝床のそば・廊下など、複数箇所に置くと「ついでに飲む」機会が増えます
  • 鮮度:1日1回の交換だと、夏場はぬるく・ほこりっぽくなります。朝晩の2回に増やすだけで反応が変わることがあります
  • 多頭飼いの場合:先住犬が近くにいると飲みにくい子もいます。器を離して置いてみてください

手順3:フード側で水分を足す

食事をする犬(イメージ)

環境を整えても飲水量が伸びないときは、食事から摂る水分を増やすという考え方があります。ここが「フードの工夫」の中心です。

ドライフードをふやかす

もっとも手軽な方法です。ぬるま湯(およそ40℃以下)を粒がかぶる程度に注ぎ、10〜20分ほど置いてやわらかくします。

  • 熱湯は避けます。熱に弱い栄養素が損なわれる可能性が指摘されているためです
  • ふやかしたフードは傷みやすいため、その回で食べきる量だけ作ります
  • 食べ残しは30分程度を目安に片付けます

具体的な温度や時間の考え方はふやかしドッグフードのやり方にまとめています。

ウェットフードを一部併用する

ドライにウェットを少量混ぜる方法です。水分量が多いぶん、食事から摂れる水分は増えます。ただし総カロリーが増えやすい点には注意が必要です。ウェットを足したぶん、ドライの量を減らして1日の総カロリーを保つ考え方が基本になります。

タイプごとの水分量や特徴はドッグフードの種類と選び方を参考にしてください。

水分の多いトッピングを少量足す

無糖・無塩のプレーンなヨーグルトや、味付けをしていない茹で汁(鶏のゆで汁など、脂を取り除いたもの)を少量かける方法もあります。ただし次の点は守ってください。

  • 玉ねぎ・ねぎ類、ぶどう、キシリトールなど犬に与えてはいけない食材が入っていないこと
  • 人間用のスープ・だしは塩分が高いため使わないこと
  • トッピングは総カロリーの1割程度までを目安にすること

考え方はドッグフードのトッピングの基本にまとめています。

手順4:水そのものを工夫する

フード側だけでなく、水の出し方でも試せることがあります。

工夫ねらい注意点
ぬるめの水にする冷たい水を嫌う子に熱くしない。人肌より低め
給水器(循環式)を使う流れる水に反応する子に音を怖がる子もいる。掃除の手間も確認
氷を少量入れる遊びながら舐める子に丸飲みしやすい大きさは避ける
散歩中に携帯ボトルで与える外のほうが飲む子にこまめに、少量ずつ

いずれも「合う子には合う」程度のもので、すべての犬に効果があるわけではありません。1つずつ、数日単位で試すと反応が分かりやすくなります。

手順5:獣医師に相談する目安を決めておく

散歩中に飼い主を見上げる犬(イメージ)

工夫を続ける一方で、「ここまで来たら相談する」という線を先に決めておくと迷いません。次のような様子があるときは、日数を待たずに動物病院へご相談ください。

  • ほとんど飲まない状態が丸1日近く続いている
  • 元気がない、ぐったりしている、ふらつく
  • 嘔吐や下痢を伴っている
  • 食欲も同時に落ちている
  • 歯茎が乾いている、皮膚をつまんだときの戻りが遅い
  • 反対に、飲水量と尿量が急に増えた

飲水量の変化は、口の中のトラブルから内臓の不調まで、さまざまな背景で起こり得るとされています。フードの工夫は原因を確かめる代わりにはなりません。手順1で記録した飲水量のメモは、受診時にそのまま役立ちます。

よくある質問

Q. ふやかしフードにすると歯石がつきやすくなりませんか? A. やわらかい食事が歯垢の残りやすさに影響する可能性は指摘されています。歯みがきなどの口腔ケアは、フードの形状にかかわらず続けるのが基本とされています。

Q. スープタイプのおやつで水分補給をしてもいいですか? A. 補助として使う分には選択肢になります。ただし嗜好性が高く総カロリーも増えるため、量は1日の給与量のなかで調整してください。

Q. 冬になって水を飲む量が減りました。問題でしょうか? A. 気温が下がると飲水量が減るのは一般的な傾向とされています。元気・食欲・尿の量に変化がなければ、まずは記録を続けて様子を見る形でもよいでしょう。

Q. 水を混ぜたらフードを食べなくなりました。 A. 食感の変化を嫌う子もいます。ふやかし具合を弱めるか、ドライのまま与えて別の方法に切り替えるほうが結果的にうまくいくことがあります。


参考・出典

  • 環境省・農林水産省所管「ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」
  • 一般社団法人ペットフード公正取引協議会 — ペットフードの表示に関する公正競争規約
  • AAFCO(米国飼料検査官協会)— 犬用フードの栄養基準
  • WSAVA(世界小動物獣医師会)— Global Nutrition Guidelines(栄養評価に関する指針)

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、診断・治療を目的としたものではありません。反応や適量には個体差があります。愛犬の体調や持病については必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。


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よくある質問

犬は1日にどれくらい水を飲むのが目安ですか?

体重1kgあたり50〜60mL程度が一般的な目安とされています。運動量・気温・フードの水分量で大きく変わるため、その子のふだんの量を基準にしてください。

ドライフードをふやかせば水分補給になりますか?

食事から摂る水分は増えます。ただし飲水そのものの代わりにはならないため、器の水は常に用意しておいてください。

水を飲まないとき、すぐ受診したほうがいいですか?

元気・食欲があり一時的なら様子を見ることもありますが、ぐったりする、嘔吐や下痢を伴う、丸1日近く飲んでいない場合は早めに獣医師にご相談ください。